会社の成長性を見抜くには、売上げや利益といった会社の事業効率と、資産の増強といった会社の大きさに注目します。
また、それと同時に成長の要因が、会社内部にあるのか、それとも外的要因なのかにも注目する必要があります。
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売上と利益の成長性に着目
会社の成長を事業の効率化で見る場合、売上高と利益が伸びているかどうかです。
この分析においては、趨勢表や年計表といった、数期間を並べて比較する方法が有効です。
また、これらの数値を同業他社と比較することも、成長度合いを知る上で重要です。
売上高増加率
過去からの趨勢を検証する
例)右肩上がりで成長を続けているものの、過去2年は成長が鈍化していたが、昨年から回復基調にある。
同業他社との趨勢を比較検証する
例)この数年成長率が落ちて、ライバル社に追い上げられてきたが、今年は成長率が回復しライバル社を再び逆転したことがわかる。
利益率も合わせて検証する
売上高増加率が、アップしていても利益率が下がっている場合は、事業の効率が低下しており、そのまま放置すると、徐々に会社の体力が損なわれる恐れがあります。
売上総利益率の推移を検証:会社が提供する、ものやサービスの付加価値の高さを示す指標
売上総利益率(粗利益率)(%)=売上総利益 ÷ 売上高 × 100
この指標が下がる傾向にあるばあいには、その原因をさらに探るために、営業利益率も検証します。
営業利益率の推移を検証:会社が、本業で稼ぐ力を判断するための指標
営業利益率(%)=営業利益 ÷ 売上高 × 100
販売管理費の増加が原因なのか、それとも原材料費の高騰が原因なのか、解決すべき問題を見つける必要があります。
会社の資産の成長性に着目
会社の成長を規模の増大で見る場合には、会社の資産の増加をみることになります。
資産を増加させるには、売上や利益を拡大する方法と他社を買収、合併する方法があります。
さらに、自力で成長している場合も、借入金の多寡で成長性が違ってきます。
会社はこのサイクルを繰り返して成長していきますが、注意しなければならないのは、
資産の増大にともって、売上や利益が増加しているかどうか、また成長の妨げとなる運転資金の増大にも注意が必要。
売上や利益の増加を確認するのは総資産利益率(収益性分析の項目)
総資産利益率が低下していると、売上高利益率か総資産回転率が低下していることになる。
売上高利益率が下がっている場合
経営効率の低下が考えられる。
- 商品力の低下で価格が下がった。
- 販売コスト(人件費等)が増えた。
- 商品が売れずに広告宣伝費が増えた。
総資産回転率が下がっている場合
資産の増加に見合うだけの売上の増加ができていないと考えられる。
- 設備投資をしたが、稼働率があがらない。
- 売上げに寄与しない、現金や有価証券ばかりが増加している。
運転資金の増大を確認するのは資金繰り(安全性分析の項目)
運転資金調達率
運転資金調達率は、売上高に占める運転資金の割合を表します。
売上高が増えると必要な運転資金も増加しまので、その増加の割合を予想される増加売上高に掛けることで、増加する運転資金の金額が求められます。
一日の売上げの何日分に相当する現金が必要か?
負債を活用した会社の成長
持続可能な成長を実現
会社の成長速度をはやめる方法として、借入金を活用するサイクルを示しましたが、その中でポイントとなるのは、資産の増加分だけ借入金が増えている点です。
このように、必要以上にお金を借りないで成長することを「持続可能性のある成長」と呼びます。
他社を買収、合併することによる成長(M&A)
他社を買収、合併することで会社を成長させる方法をM&A(Merger and Acquisition)と呼びます。
お互いの長所を取り入れ、弱点をカバーしあうことを目的として会社の競争力を強化しながら成長することが可能です。
また、開発費の削減や技術開発期間の短縮を目的とする場合は、お金と時間を交換する手段とも言えます。
まとめ
会社の成長性を支える根本は、売上と利益です。
売上⇒利益⇒資本⇒資産⇒売上・・・このサイクルをしっかり頭にいれておくことで、堅実な成長が実現できます。