「簿記」と聞いただけで眠くなってしまう・・・企業経営者は、会社でナンバーワンの営業マンであるのが常ですが、どうも数字は苦手という経営者は少なくありません。
しかし、数字に弱い経営者では、会社の先行きが不安になります。
今回は、簿記が苦手でも、これだけ知っていれば、決算書が有効に活用できる。
そんな解説をしていきます。
1.経営者に必要な会計情報
①どこからお金を調達して、どこに使ったのか?
②運転資金の資金繰りを改善するにはどうしたらよいか?
③資金余裕を作るにはどうしたらよいか?
これらの情報が、ぎゅっと詰まっているのが決算書です。
見るべきポイントとその意味がわかれば、会社経営に有効な情報が湧き出てきます。
簿記の基本【財産法】と【損益法】
財産法とは、期首の純資産と期末の純資産を比較する期間損益計算の方法です。期末の純資産が増加していたら利益となり、減っていたら損失となります。
財産法の問題点は、利益と損失は把握できるけれども、どのような取引が行われた結果、そうなったのかが判らない点です。
それを補うために登場するのが、次の損益法です。
財産の状態を明らかにする複式簿記(二重記帳)
複式簿記とは、企業が行っている簿記の記帳形式のことです。単式簿記では、何が増えた、減ったということのみ記帳しますが、複式簿記では何が増え(減り)、同時に何が減った(増えた)のかを記帳します。つまり、取引の増減をそれぞれの勘定の借方と貸方に同一価格で一対に複式記入します。
簿記は、このような取引の二面性を捉えて、取引が発生する都度、あらゆる取引を、借方へ記録する要素の勘定と貸方へ記録する要素の勘定とに振り分けて、同一の金額を同時に記帳します。
すべての取引を借方要素と貸方要素に分けて二重記帳する方法を複式簿記といいます。
2.複式簿記(二重記帳)にはじまる決算書
決算書を構成する、貸借対照表(バランスシート、B/S)、損益計算書(PL)のどちらも、よく見ると、増える方と減る方が表記されていることが解ってきます。
貸借対照表の構造
貸借対照表の右側では、お金がどのように生まれたか(増えたのか)、左側にはお金がどのように使われて、かたちが変わったかが、書かれているのが解ります。
損益計算書の構造
損益計算書よくみてみると、お金が生まれる売上げに対して、どのようにその売上げを生んだのか、売上げを生みための経費がどのように使われたのかが、書かれているのが解ります。
3.資金繰りが悪化する要因を考える
資金繰りが悪化する要因には、大きく分けて次の3つが考えられます。
信用取引と現金取引
信用取引か現金取引なのかによって、手元現金の有り高は大きく違いますが、損益表はまったく同じことに注目してください。
ケース2の状態は、まさに「勘定合って銭足りず」です。
運転資金のイメージ
売上に対して入金が、同時にあれば、運転資金の不足はないはずです。
売上げに対して入金時期がずれると、資金不足が発生します。
設備投資が資金繰りに及ぼす影響
設備投資が行われると、大きな資金減少が起こります、一方で設備投資は一括で経費になるのではなく、減価償却という処理を行い、数年にわたって経費化されるため、
利益とくらべて資金が少ないという状況が起こります。
退職金が資金繰りに及ぼす影響
退職金の場合は、長期勤続者の退職や役員の退職など大きな金額になる場合には、資金の減少だけでなく、利益の減少も起こすことになります。
4.決算書から資金を生み出すポイント
決算書の各項目の中から埋蔵金があるかもしれない項目に注目してみます。
これらが決算書のどこに記載されているのかを確認します。
保険や有価証券、不動産のように売却することによって、現金が増加する場合と不良在庫や不良債権の処理、機械設備の除却といった金銭の支出のない損失を生むことで税金を減らすことができることも資金の増加につながることに注意してください。
含み益と含み損のコントロールで資金を生み出す
損失と利益を【含み益】と【含み損】で、吸収したり放出することで、税金をコントロールしんがら資金を生み出します。
まとめ
決算書は、判定が書かれていない健康診断書のようなものです。まずそこに書かれていることから、どのようなことが判るのかを理解することからはじめます。
そして次には、決算書から問題点や解決策を見つけ出します。
また、一方で決算書は、外部、取引先や金融機関から、会社を判断する材料としても、見られます。
上手に活用して、経営に活かして下さい。