金融機関に対する説明書類の作り方

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事業を起こしたり、運転資金が足りなくなったときには、銀行から借入をする必要があります。
しかし、いざお金を借りるとなると簡単ではありません。

お金は借りたら返さなくてはなりません。
そのため、お金を借りる相手には、きちんと利益を上げて返済することが出来ることを証明する必要があります。

そこで今回は、銀行からお金を借りるときに必要な説明書類について解説していきます。

1.会社の内容を理解してもらう

銀行員が企業について情報を得るには、決算書や社長・経理担当者との対話や必要な時に提出する資料などしかなく、経営者が思っているほど、企業のことを理解してはいません。
取引上の必要最低限の情報、例えば創業年月・社長の生年月日・過去の売上・利益・従業員数などは分かっていても、さらに突っ込んだことになると知らないことが多くあるはずです。
その企業のことが詳細に理解できない場合には、銀行側ではこれまでの取引に関係なくリスク回避の為に、取引を回避しようとしてくるでしょう。

もっと会社のことを理解してもらい、取引を緊密にするためには企業側の努力も必要です。企業の業績、経営の将来性、経営計画といった企業の本当の中身を説明する必要があります。

どのような内容を理解してもらえばよりのか?

銀行が融資をする場合には、業種別貸出審査辞典等でその業種の内容を調べたり、各種のリサーチを参考にしています。
つまり、その業種はどのような特性があり、成長性はどうなのか、市場環境、市場規模はどうかかから始まり、その会社の客観的な信用度、財務体質。
社長の経営者としての手腕までが評価の対象となります。

ですから、企業自らがこれらのことを積極的にアピールしたほうが、客観的な第三者の評価のみようりは、有利な印象を銀行に与えることができます。
特に会社の持っている強みの部分は、是非銀行に理解してもらうべきです。

2.銀行に対して開示する説明資料

経営計画書

経営計画書がなぜ必要かについて説明します。

数値で目標管理ができる

目標売上、目標利益等について、経営計画書で利益計画が明確にされています。
このために、月次で計画と実績の差をチェックできますので、打つ手を間違えない
という効果があります。

資金用途が明確になります

経営計画書は単年度計画の中で、設備投資の有無、賞与資金の借入の有無等の
資金運用計画により資金の把握が可能となります。このため、金融機関への借入
資金の早期申込みや、支援を受ける必要性が計画段階で判断されます。

金融機関への説明が容易となります

経営計画書には、目標利益や資金繰り等の数値計画が盛り込まれています。
このため、この企業が今後どのように努力して進歩発展していくのかを、一目瞭然
で把握することができます。

資金繰り計画書

資金繰り計画書は、資金繰り表、資金繰り予算表とも呼ばれます。
将来の一定期間における現金収支と現金支払を予測表示して、できるかぎりその収支の調節をはかるとともに、現金不足額についてはその調達を、現金余剰額についてはその運用を計画するために作成される計算書です。
それはまた、現金の収入と支払を管理する手段としても使われます。

資金繰り計画書は、作成する期間の長短によって、長期資金繰り計画書と短期資金繰り計画書に分類されます。
長期と短期の区分は、一ヶ月を基準として、これを超える期間の資金繰り計画書を長期資金繰り計画書、これ以下の期間の資金繰り計画書を短期資金繰り計画書と呼ぶことができます。
長期資金繰り計画書には年次資金繰り計画書、半期資金繰り計画書、四半期資金繰り計画書等があります。

資金繰り計画書が必要なのは以下の理由からです。

  1. 資金導入(借入の申込み)の必要性の裏付けとして金融機関等から資金繰り計画書の提出を要求されます。
  2. 企業の最終目標は利益の追求にあります。その利益の達成には利益計画書・資金繰り計画書の作成は必要不可欠なものです。
  3. 資金ショートを起こさないためには、資金繰り計画書が欠かせません。
  4. 資金計画のない経営は黒字倒産の元凶となります。

キャッシュフロー表

キャッシュフロー表は、会社が行う取引の中から、現金の増減を伴う取引だけを取り出して、整理した表です。

なぜ、キャッシュフロー表が必要なのでしょうか?

  1. 財務上の総合的な問題点を把握できます
    企業の全体的な資金の運用使途および調達源泉の構造を把握し、資金繰りの背景にある財務上の総合的な問題点をつかむことができます。
    また、その企業の資金繰りの状態を純額で把握することが出来ます。
  2. 資金繰り上の問題点を明確化できます。
    キャッシュフロー表の作成により、その期間中の資金繰りからみて好ましい動きとそうでない動きを分析することができます。
  3. 効率的な資金計画の策定ができます
    経営計画の大きな柱は、利益計画と資金計画にあります。
    キャッシュフロー表の作成により、課題の分析をベースに利益計画とリンクした資金計画、さらには効率的な資金繰り計画を策定することができます。

在庫明細書

決算書の中には企業の業績、所有している財産、債務の内容など企業に関するすべての情報が網羅されています。
また、より正確な情報を知るためには決算書の内訳である明細書が必要とされます。
明細書によって正確な企業の財務状況を把握し、企業の持っている財産、債務の本来の価値はいくらなのか、不良債権はないのか、実際にその財産、または債務があるのかなどを知ることになるのです。

在庫明細書はなぜ必要なのか?

  1. 経営資源としての商品等をしっかり把握、管理します
    会社の経営資源である商品等を常に名称、単価、数量、総額として把握しておかなければなりません。
  2. 企業の適正利益を算出します
    企業が作成する決算書の適正な利益を算出する上で、在庫金額が影響してきます。
    すなわち決算日までに売れたものであれば原価に、決算日の翌日以降に売れたものであれば在庫に算入され、それによって大きく利益が変わってくることさえあります。
    在庫金額を正確に算出することは企業利益を適正に算出することに繋がります。
  3. 企業の適正財務諸表の検証として必要です
    企業の財産としての商品等が、市場価値としていくらであるかを把握するために必要とされます。
    市場に流通している商品が、流行遅れ等によって半値以下の価値でしかなければ、企業財産としての商品評価も下げねばなりません。
    商品の変化が激しく今まで売れ筋商品であったものが、とたんに死に筋商品に変化する時代です。
    また、経済環境が悪化している時期には、いかに在庫商品を減らすかが大きな経営課題です。
    そこで在庫処分計画を立て実行させるための資料として、また銀行借入時の重要な資料としても役に立ちます。

担保明細書

現在、企業が金融機関などに対して、どのような資産(不動産、預金、有価証券)を担保として差入れているかを明らかにするために作成します。
これには、主たる金融機関だけでなく、それ以外の金融機関の担保状況も記入します。
企業が金融機関に対し、元利金の返済条件の変更等をお願いした場合、金融機関は次の三点に注目します。

  1. 体質面…体質的に営業利益段階で黒字体質か否か
  2. 資金繰り面…当面の資金繰りが続くかどうか
  3. 回収面…融資金の回収は?回収率は高いか?今のポジションをより良く出 来ないか。

なぜ、担保明細書は金融機関の協力・支援を取得するための重要な手段なのでしょうか?

①自己の不動産等がどのような形で金融機関の担保がつけられているか
一目瞭然となり、どれだけ担保余力があるか、逆にどれだけ担保不足になっているかわかります。

②金融機関としては、会社が提出する「返済条件変更願い」等に応じられるか否かを検討する前に、次の項目について調査します。
1)担保設定している不動産の実勢価格がいくらか?
2)担保順位が何番目か?
3)優先順位の担保権者がどこと、どこか?
4)現在の債権残高がいくらなのか?
以上を知ることで、自己の回収予想額、他行とのポジションとの差を客観的に評価できます。
情報の積極的な開示は、企業側からの誠意と理解してください。

③毎月の資金繰りと企業の経営状態、将来の資金計画を把握するための「資金繰り表」の作成に役立ちます。

まとめ

銀行による企業の評価は、基本的に減点方式をとります。
従って、必要以上に細かい資料を作成する必要はありませんが、できるだけ具体的に、わかり易く、なぜ資金が必要なのかを説明する必要があります。
また、説明に必要な経営計画書には、数値だけではなく経営者の理念や事業への思いを書くことで、数字に説得力を与えることに繋がります。
そのことは、会社の発展、事業の展開に新たな局面を生み出すことになるかもしれません。

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